新世界より(上下)・狐火の家

新世界より                狐火の家

◆せつなさ、哀しさ:★★★☆☆          ◆せつなさ、哀しさ:★☆☆☆☆
◆登場人物の魅力 :★★☆☆☆          ◆登場人物の魅力 :★★☆☆☆
◆恋愛描写    :★★★☆☆          ◆恋愛描写    :★★☆☆☆
◆緊張感     :★★★★★          ◆緊張感     :★★☆☆☆
◆恐怖度     :★★★★☆          ◆恐怖度     :★★☆☆☆

◆おすすめ度   :★★★★★          ◆おすすめ度   :★★★★☆

【あらすじ(新世界より)】

 1000年後の日本。通信技術や機械工学は衰退し、人口は数十万人にまで落ち込んだ世界。そこは暴力や犯罪とは無縁の「理想郷」といわれ、念動力を持つ人々が暮らしていた。
 最初に念動力(呪力)を持つ人間が現れ、徐々に増えていった1000年前(現代)。一人の青年が、呪力を悪用して性犯罪を犯したことから、呪力を持つ人間VS普通の人間の、殺戮の歴史が始まった。
 呪力を持たない人間が絶滅した後、呪力を持つ人々には「同種間攻撃をしようとすると呪力で自殺に追いやられる」という遺伝子操作「愧死機構」が施された。それは、人間が人間を襲って死ぬのを「恥ずかしいこと」とし、呪力によって発動する、体内に埋め込まれた爆弾のようなものであった。また、お互いを愛し合うことでストレスを緩和させる社会へとつくりかえることで、人を憎まない理想郷が生まれた。
 そして、高度な知恵を持ちながら呪力を持たないハダカデバネズミの子孫「バケネズミ」を奴隷扱いし、食料品などの献上を命じていた。
 主人公・早季とその友人たちは、学校で呪力を習う好奇心旺盛な12歳。「バケネズミには関わるな」という大人からの言いつけを破り、バケネズミの巣穴に潜入してしまい、今おかれている世界の秘密を知ってしまう。
 理想郷といわれた世界で、大人たちが隠した闇。それは17歳以下の子供には人権を与えないというものだった。何かの原因で遺伝子操作が効かない・呪力で人殺しするのを厭わない子供は、発見され次第「間引き」される…
 それを知った早季の親友・真理亜は14歳にして、自分の生まれた町を、幼なじみの守と共に出て行った。

 12年後。26歳になった早季は、役所でバケネズミの生態管理をする仕事に就いていた。
 ある夏祭りの夜、バケネズミが人々を、次々と襲う事件が発生。人間を攻撃しないはずのバケネズミ。そのバックにいたのは、「愧死機構」の発動しない、呪力を持つ人間の子供だった。。。

【感想(新世界より)】 

とりあえず、貴志先生の姿が拝めるリンク一覧です。
http://www.yomiuri.co.jp/book/author/20080212bk13.htm
http://www.webdokusho.com/rensai/sakka/michi77.html
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200803-01/
http://www.mainichi.jp/enta/book/kyodoInterview/archive/news/2008/20080409org00m040045000c.html

もう本当に、貴志先生は天才ですね。もっと評価されるべき。
相当頭が良くて、オタク趣味で、親近感がわくし、面白い人ですね。
何が好きで、頭の中で何を考えているのか、これほど分かりやすい作家は
いないだろうなと思います(虫とかゲームとか本当に好きですね…)

「硝子のハンマー」から4年。新刊はなかなか出なくてジリジリさせられましたが
「新世界より」を読んで納得しました。やっぱすごい取材量だったのね。
「狐火の家」も良かったです。

「新世界より」長かった…1100ページは長い…すごい時間かかっちゃった。
でも、とても楽しい読書時間を過ごさせてもらいました。
先生には改めて「ありがとうございました」と言いたいです。
いろいろな思いがあって、書ききれないので、要点をサクッと。

○上巻、最初グダグダしてて「やばい、つまんないかも」と心配しましたが
 図書館がベラベラ喋り始める168ページから、唐突に面白くなりました。
○ハダカデバネズミの気持ち悪さは知ってたけど、あれをあんなふうに
 ストーリーに混ぜ込む発想がすごいというか何というか。
○1000年後は文明が退化していて、東京の地下鉄は「東京洞窟(鍾乳洞つき)」
 になってて、大気汚染と土壌汚染で地獄絵図だそうです。
○生命倫理とか、理想郷の秩序がちょっとしたことで崩壊することとか、
 考えさせられたけど、新世界の人間は根本的にいろいろ間違ってますな。
○でも今の事件やらモラルの低下を見ていると、子供に人権を与えなかったり、
 通信技術や機械工学を撤廃したり、遺伝子操作で同種間攻撃の抑制をしたり…
 という社会になってる理由も、わからなくもないです。
○多くの人がバケネズミ側に感情移入してたみたいだけど、それは当然かも。
 結局、想像力と情報が、一番大事なんだなと思います。
○1000年後の、我々の祖先のなれの果ては…
 …貴志先生、相変わらず毒を仕込んできますのね。。。

【感想(狐火の家)】 

 あまり頭を使わず、リラックスして読める感じの短編集というか。
「硝子のハンマー」のコンビを知っている方が、より楽しめると思います。
 リックとか密室とかの謎よりも、人間の行動や、将棋・囲碁・チェスについての雑学話のほうが面白いと思いました。
 それにしても、タランチュラ…。毒がないとはいえ、あれを触ってナデナデする人の心理は、私にはわかりません(笑)