| 【あらすじ】
若槻慎二は、生命保険会社で保険金の支払い査定の仕事をしていましたがある日、顧客の家に呼び出され、子供の死体の第一発見者になってしまいます。その子供は自殺ということで保険金が請求されましたが、若槻は他殺じゃないかと感じ、独自調査に乗り出すのです。
【感想】
この本を読んだきっかけは、声優の高山みなみさんがお薦めしていたからなのですが、読んでみて、みなみさんが薦める理由がよくわかりました。みなみさんとは、話が合いそうです。
貴志先生がかつて保険会社の会社員だったこともあって、保険会社の内部事情がとてもよく描かれていて面白いです。保険会社が「潰し屋(不当なやり方で保険金をもらおうとする人間に脅しや圧力をかけて、契約解除させる人たち)」を依頼するなんて、はじめて知りました。それに、モラルリスク病院って…(汗)そんなものがあるのかーと驚きました。
「この人間には心がない」というのが映画のキャッチコピーになりましたが、どんな人間が本当に怖いのか、考えさせられる作品です。この本が出た頃、ちょうど保険金殺人の事件が実際に起こって、話題になりました。自分には信じられないけど、金のために人を殺せる人間って本当にいるんだな、とため息が出ます。
そして、そんな人間を若槻が調査し、心理学的な面から分析がされていくのですが、その過程が見事です。貴志先生の作品は、医学・心理学・法学などの勉強になります。それを読者に説明するように書くのではなく、物語に織り込ませたり、自然なセリフとして書いてくれるので、とてもわかりやすいです。それだけの取材を先生がこなしていることに脱帽いたします。
貴志先生の作品の中で、もっとも先生の個人的な体験が関わっているのが、この黒い家だそうです。
例えば、主人公の若槻さんは、先生が自身をモデルにしているようですし(保険会社時代の同僚に「自分を美化しすぎだ」と言われたとか/笑)虫の話が挿入されるのも、先生が虫オタクだから、というような話をどこかで聞いたことがあります。
この作品でもっとも迫力があるのは、最後の部分です。読んでいる間は興奮の連続でした。本当に臨場感があり、ドキドキしっぱなしです。読んでいるだけなのに、「あああ!早く逃げて!」と言いたくなるような雰囲気が続きます。もう一つ、注目すべきは、若槻のトラウマです。最後には、その問題は解決するのですが、若槻のトラウマについての真実が明かされていく部分も楽しめます。
【好きな場面】
▼若槻が恵を助けに行く場面
これがまた、ドキドキするのです。それに、若槻がかっこいい。
▼若槻が犯人と遭遇する場面
ここの場面も本当に怖い。一歩まちがった判断をしたら、すぐに殺されてしまう、という緊張感でいっぱいになります。よく、ここまで描けたものです。
▼若槻が恵と電話で話す場面
「わかってるんだろう?君が欲しいんだよ!」と若槻が病院の電話で言ってしまう場面が微笑ましい。
【映画化について】
映画を見て、がっかりです。本の若槻はとてもかっこよかったのに、映画の若槻はかっこわるい。内野聖陽さんとか、配役はとてもよかったので期待したのですが、なんで若槻をあんなひ弱にしてしまったのでしょう?あと、菰田幸子って原作ではブサイクなおばさんのイメージです。大竹しのぶのような、きれいな感じではなかったのですが…
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