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【あらすじ】
◆せつなさ、哀しさ:★☆☆☆☆
◆登場人物の魅力 :★★☆☆☆
◆恋愛描写 :★★☆☆☆
◆緊張感 :★★★☆☆
◆恐怖度 :★★☆☆☆
◆おすすめ度 :★★★★☆
広告会社のエリート・佐久間駿介は自分が手がけた日星自動車キャンペーンのプランを、日星自動車副社長の葛城の意向によって白紙にされ、自身も担当から外されてしまった。プライドの高い佐久間は自分の実力を思い知らせてやろうと、葛城邸に向かう。佐久間は葛城邸の塀から脱出しようとする若い女を目撃し、尾行する。その女は「葛城樹理」と名乗り、副社長の愛人の娘で家が嫌になって逃げ出した、と言う。受験も仕事も恋愛もゲーム感覚で生きてきた佐久間は、樹理と二人で狂言誘拐を実行する。「俺は副社長を陥れることに成功する。君は身代金を持って外国にでも行けばいい」
こうして完全犯罪を企てるのだが、副社長は警察に知らせず余裕があるかに見えた。疑念を持つまま、身代金を受け取り樹理と別れた佐久間は後日、「葛城樹理さん遺体で発見」というニュースを知る。佐久間が今まで接触していた女は本当の樹理の義理の妹、千春だった。姉の樹理を口論の末に殺害し、副社長も娘の犯行をを隠すために狂言誘拐を利用し、身内以外の犯行に見せかけたのだった。
【感想】
「こんな女子高生いるんですか?」「こんな親いるんですか?」それが一番の感想です。
姉の樹理を殺した千春はまったく反省することもなく、佐々木を犯行隠しに利用しようととっさに思いついた。おまけに樹理が暴行されたように見せるために佐々木と関係を持ち、父親が佐々木を処分してくれるだろうという目論み。高校生の感覚とは思えない。ある意味精神年齢は大人だけど、親に甘えていることに変わりない。
樹理を殺すきっかけになったのは化粧クリーム。「あれはママとフランスに行ったときに買った、日本で売ってない物なの。それをあいつは断りもなく…」というしょうもない動機。
父親もしかり。千春を叱らず「お前のようにとっさの判断力を持った人間が成功するんだ」などと千春を褒める展開。援助交際を褒めているようなもので呆れるしかないのですが…。勝ち組になる人間は、子供に何を教えているのか?
話の展開やどんでん返しよりも私はこんな怖い家族の存在に驚いた。こんな家族ありかな?ありなのでしょう。
時代の変化を感じます。道徳とか夢とか思いやりとか、そういうものを中心に教える時代から、「金のまわりかた・成功のしかた」を教える時代へ。今までの学校教育は、経済や金の使い道や金の運用を子供に教えてこなかったので、これからは「金」というものを教える必要性が叫ばれています。私もそれには賛成です。「社長」になりたい子供には経済や株を教えるべきです。ただ、それが極端になると、本当に金以外は見えない人間が形成されてしまう怖さ…このことには十分配慮すべきなのです。
樹理が哀れ。死んだ愛人の子であるために愛されなかった。千春のようにフランスにつれていってもらえなかったのですね。
葛城副社長が佐々木に狂言誘拐の決定的証拠を出させたところで物語は終わっているが、この後どうなっただろうかは読者の想像にお任せになっています。きっと副社長は佐々木を殺さないが、真相は闇に葬られるのでしょう。もちろん、副社長は証拠の画像を処分したんだろうし。
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