3大ミステリー漫画の考察

ミステリー漫画といえば、「金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」が挙げられますが、もうひとつ、知名度は高くないものの、質の高いミステリー漫画が存在します。それは「Q.E.D.…証明終了…」です。
講談社のマガジンGREAT(コンビニのサンクスで売っています)という隔月刊雑誌で連載しているようです。2ヶ月に一度、というスローペースですが、その分、ストーリーを丁寧に作っていると思います。毎号につき、単行本の半分ほどのボリュームを一話完結で掲載、という形式なので読みやすいです。コナンの一話3週完結型や、金田一(今は探偵学園Q」)の一話を何週にもわたって掲載するスタイルだと、前回までの話を忘れてしまいがちですが、こうしたスタイルなら一気に解決できて読後感良いです。
でも、こういうマイナーな雑誌でないと上質な漫画が作れない・知名度が低いというのは残念。講談社も、もう少しQ.E.D.を推してもらいたい。知名度が上がれば、確実に人気が出るはず。
この3作品って、全部少年漫画で、(少女漫画でもミステリーあると思うけど、私は少女漫画自体好きではないので読みません)それぞれ恋愛描写もそれなりにあるし、キャラの描き方にも違いがあります。漫画それぞれ
を比較してみました。どの漫画も共通点は「男子高校生が主役」ですね。高校時代って人生の中でも一番の青春で、若さゆえに一番見栄え良く絵にできる年代だと思います。大人でもなく子供でもなく可愛さとかっこよさの二つを合わせ持つ年代であり、「仲良しなんだけど恋人というわけでない異性」がいるという素敵な年代です。これが成人だと、白黒はっきりの関係になってしまうため、「もどかしさを感じたり、進展を期待する」といった読者の楽しみが損なわれるのかもしれません。
ところで、女の子を探偵役にした漫画や小説ってないでしょうか?頭の切れる女子高生、というキャラクターも見てみたいです。

【Q.E.D.…証明終了】

ストーリー…★★★★★ キャラの魅力…★★★★★ 恋愛…★★★★☆ アクション…★★☆☆☆
この漫画、他の2作品に比べると殺人事件が少なくて現実的です。私は「毎度毎度殺人事件に巻き込まれたり、身近な人が死んだりするのって…(-_-;)。人が死ぬのに冷徹に犯人探しする主人公たちにも共感できないし、もっと日常的な場面で、人が死なないミステリーがあればいいのにな」と思っていました。
意外と私と同じことを思う人は多いんですね。いろんなサイトの掲示板とか見てると、「Q.E.D.は人があまり死ななくていい」という意見が多くて驚き、嬉しくなりました。
簡単にキャラ紹介します。高校2年生の燈馬想は15歳でマサチューセッツ工科大学を卒業した天才児。燈馬のクラスメイト(というか日本では唯一の友達)の水原可奈は父親が警部で、運動神経抜群の元気な少女。
どの漫画もそうなんですが、探偵役はみんな頭のいい少年(高校生)に設定されます。ごく普通の高校生だと無理があるので。15歳でアメリカの理系大学卒業、という天才少年も非現実的とは思いません。しかも、天才であるがゆえに人間の感情に疎い、というキャラクターはアリです。そんな燈馬を明るくて世話焼きな可奈がいろいろなことに巻き込むので、燈馬は少しずつ心を開くようになります。可奈の父親が警部なので、それなりに殺人事件の調査などにも関わります。
探偵に必要と思われる「犯人と格闘する体力」は可奈が補っています。
他の漫画との違いは「数学的証明の仕方」で犯人や真相を暴くところ。たまにミステリーとは違う数学の話も出てきますが、それはそれで数学嫌いな私でも面白いと思うので好きです。また、派手さがなく、絵がきれいです。

【名探偵コナン】

ストーリー…★★★★★ キャラの魅力…★★★★★ 恋愛…★★★★★ アクション…★★★★★
一番大衆受けしている漫画。映画が面白い。アクションバリバリで見ていてワクワクします。ミステリーとしての質よりも、この最大の敵(組織)がいることが魅力だと思います。中身は高校生でも、外見が可愛らしいので子供に大人気。
工藤新一は、高校生探偵ということで「頭良くて運動できて美少年」とこれまた完璧な男の理想像みたいになっています。蘭は空手が強い。男性作家にとっての理想の女性って「強い」キャラのようです。
コナンもそれなりに「人が死なない」ミステリーを目指しているところがあります。警察に協力したり、という設定はやはり必要。
今後の展開として希望するのは、「早く組織と接触して欲しい」。どうも3週で一話完結、というスタイルから抜けきれていない。しかも日常事件が組織関係の伏線になってたりするから覚えていられず、厄介。もうそろそろ、思いきった展開にすればいいのにな、と思います。

【金田一少年の事件簿(探偵学園Qは未読)】

ストーリー…★★★☆☆ キャラの魅力…★★☆☆☆ 恋愛…★★★☆☆ アクション…★★☆☆☆
ドロドロさナンバーワン。毎回人が死ぬミステリーです。それも高校の同級生とか、旅先で知りあった人とか。
他の二つの漫画に比べてヒントはわかりやすいです。「!?」のあるコマは全部ヒントなので
面白いことは面白いです。ミステリー漫画の先駆けだし、映画にドラマにアニメになりました。現実味を無視して考えれば、大掛かりなトリック・悲しいストーリー・動機の重さ・凄惨な描写…などなどミステリーの王道です。王道だけど、密室殺人・トリック云々が嫌いな私には食傷気味。
一(はじめ)は「高校生探偵」とは少し違うものの、IQ180の頭脳を持ち、剣持警部に協力しています。警部をオッサンと呼んだり、普段はダメ男ぶりを展開したり。それがかえって推理展開するときとのギャップを強調しています。(普段はダメ男で、やるときはやる、ってのは「美味しんぼ」の山岡士郎の設定に似ていますね)

東野圭吾にハマる

貴志祐介の他にもうひとり惚れ込んだ作家、それは東野圭吾さんです。
以前から名前は知っていて会社の先輩に借りたのが読みはじめたキッカケですが、最初に借りたのは本格推理物。推理が苦手な自分は、その時は「普通だな」と思っただけでした。しかし、兄の部屋にあった「片想い」を読んで「この人すごい」と思ったんです。
私が絶賛する理由
=>幅広いジャンルが書ける。「金田一少年の事件簿」的なトリック推理だけだったら飽きてたが、「世にも奇妙な物語」的な後味悪い日常ミステリーも書けるし、私が泣かされた物語もある。ファンタジーも書けるのに、ホラーカテゴリーに入りそうなドロドロ(惨い描写じゃなく人間心理や行動が怖かった)も。同じ人が書いてるのが信じられないです。
=>貴志さんと同じでかなり取材してると思う。読むと勉強になる。性同一性障害を扱った作品もそうだけど、社会的な問題を巧みに物語中に取り入れ、「(マナー・人道的に)許せない人間たち」を破滅させる物語を作ることで風刺しているよう。ある意味爽快です。
=>貴志さんと同じで人間心理の描写がうまい。高校生や大学生ならそれらしい会話も書くし、家族・親子・夫婦間の問題や葛藤を「どこにでもありそう」なリアルさで書いている。単なる復讐だけでなく、人の心の底に沈む劣等感・嫉妬までもを動機にしてしまうのが現代社会で「身近にありそう・いつでも起こりそう」で怖いけども面白くて読んだら止まらないのです。

「青の炎」映画の感想

待ちに待った映画を観てきました。ですが、正直な感想を述べたいと思います。
泣けなかった…まったく泣けなくて残念でした。
二時間という制約の中、原作の最も大事な部分が省かれていたせいでしょう。あの作品の大事な部分、それはやはり秀一と紀子の別れの会話でしょう。
それが、映画では実にあっさりと流されてしまっていました。紀子は涙も流さなかったし、秀一はこれから自殺するというのに、その気配すら見えない。
これでは、せつなさは伝わってきません。紀子のキャラクターが終始淡々としていて、かなり原作とは違った女の子になっていました。

ポイントを整理しますと、

秀一の人格について。
二宮君はよく演じていてくれたと思います。二宮ファンの女の子が言っているように、演技力はあると思います。曽根や母に対して怒りをぶつける場面もいいと思います。ただ、水槽の中に入ったり、テープレコーダーに自分の声を入れる演出というのは、理解しがたかったです。やはり、秀一の心の声は、音声のみで表現するほうが自然でしょう。
青を表現したものが、テレビの光や水槽の映りこみというのも、私にとっては異議有り。私は
「赤い炎以上の高熱を発する青の炎=静かであり、自滅的でもある秀一の怒り」と解釈していたので、人工的なもので表現されるとそれが秀一の怒りにつながらなくて違和感があったのです。

遥香役について。
やはり、鈴木杏は15歳にして実力派女優です。この子がなぜ、テレビドラマよりも映画出演の方が多いのか、よくわかりました。紀子に対する嫉妬シーンがあればもっと面白かったのですが、彼女を起用したことに関しては適役だったと思います。

紀子役について。
これが一番の不満でした。紀子が一度も笑うシーンがなくて。実は私もあややが好きで、新曲「ね〜え?」で見せるようなあややスマイルを期待していたのですが、あまりに淡々としていて、松浦亜弥のよさがつぶれてしまった感じ。紀子役があやや本人じゃないように見えてしまったし。あややである必要があったのか?あれじゃ、他の女子高生の女の子が演じてもよかったのでは?と思ってしまいます。

曽根の傍若無人ぶりについて。 
これも物足りなくて。山本寛斎が悪いんじゃないです。曽根が憎く思えるのって、秀一を虐待したり、遥香の進学のための貯金をギャンブルで使ったりっていうシーンであって、「殺されて当然な人間」と思えるくらいでないと、秀一に同情できないです。

加納先生について。
親身に相談に乗る弁護士だったはずですが、映画ではそうは見えませんでした。

山本警部補について。
中村梅雀ということもあり、存在感があってよかったです。ロードレーサーを練習するシーンは好きです。

トリックについて。
トリックがわかりにくい。なぜ曽根の銀歯を通して電流を流したのか、鳥肉を使って実験したのはなぜか、Q=Ivtの公式の意味、秀一がジュール熱の知識を見落として銀歯が外れたことに気がつかなかったこと、…これらのことを原作を読まずして理解できた人はどのくらいいるのでしょうか?

こうしてみると、キャスティングがよかったのは認めます。しかし、映画を観た後に「原作はこうでこうでこうで…」と語ってしまいたくなる仕上がりにはなってしまいました。
映画のよい部分も受け入れたつもりですが、やはり辛口評価になってしまいました。
青の炎は連続テレビドラマとして制作したほうがよかったかもしれません。また、そうなることを期待しています。そうすれば、一話一話(原作では一章ごとに)丁寧に作ることも出来るし、「龍恋の鐘」を登場させることもできるでしょうから。そうしたら、「3年B組金八先生」のパート5,パート6並みの感動作になるのは間違いないでしょう。

 このコーナーは、貴志祐介氏の小説「青の炎」が2003年の春に映画化されることが決定したため、緊急企画として設置したものです。
 青の炎をはじめ、私の好きな本を個人的な観点から紹介していきます。
 今のところ、ミステリーが中心ですが、ネタが増えたら他のジャンルにも手を出していきたいな、と考えております。
 また、一部、ネタバレも含みますのて、ご覧頂く際はご注意願います。
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